【これって犯罪?】ハンドメイド作家が知っておくべき著作権・商標権

本記事の内容

著作権について

ハンドメイド作家の皆さん、創作活動を楽しむ中で著作権について考えたことはありますか?ハンドメイドは著作権と密接に関わっています。気づいたら、著作権侵害して訴えられるケースもあるようです。ここでは、ハンドメイド作家が知っておくべき著作権の基本と注意点についてまとめました。

著作権とは

著作権は、創作物を作った人がその作品を無断で利用されないように保護するための権利です。著作権は「知的財産権」の一種であり、創作物が作られた時点で自動的に発生します。

知的財産権」とは,知的な創作活動によって何かを創り出した人に対して付与される,「他人に無断で利用されない」といった権利

(中略)

著作権は,こうした手続きを一切必要とせず,著作物が創られた時点で「自動的」に付与するのが,国際的なルールとされています。

出典:知的財産権について(文化庁)

著作物の定義(第2条)の解釈
  1. 思想や感情の表現:著作権は、思想感情を表現した創作物に対して付与されます。単なるデータやアイデアは対象外です。
  2. 創作性:他人の作品の単なる模倣ではなく、創作性があるものが対象となります。ありふれたものも対象外。
  3. 文芸、学術、美術、音楽の範囲:著作権は、これらの範囲に属する作品に対して付与されます。工業製品は×

模倣ではなく、創作性があるものになるので、コピーや模倣は創造性がないので、著作物の対象外です。

対象となるもの

具体的には、このように著作物の種類を例示しています。(第10条)

出典:5.著作物(文化庁)

ハンドメイド作品は、一般的に「美術作品」に分類されます。そのため、絵画や彫刻、工芸品などと同様に、創作性があり視覚的に楽しむことができる作品のみです。

著作権は思想や感情が現れている、創作的な表現でなくてはいけないので、一般的なデザインの作品は、著作権での保護は難しくなります。美術品に分類されるように、アートに近いもののみが対象であると捉えましょう。

著作権侵害の罰則について

【個人】権利者が、「告訴」を行うことを前提として、「10年以下の懲役」または、「1,000万円以下の罰金」(懲役と罰金の併用可)という罰則規定が設けられています。(第119条第1項)

商標権についても同様の罰則がありますので注意しましょう。

著作権以外の気を付けるべき法律

ハンドメイドビジネスを運営する際には、著作権以外にも以下の法律に注意が必要です。

重要な著作権以外の法律
  1. 商標権ブランドロゴやキャラクターの使用に関する権利です。商標権を侵害すると、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金、またその両方が科される可能性があります。
  2. 肖像権・パブリシティ権有名人の写真や名前を無断で使用することはこれらの権利を侵害する可能性があります。

近年は、推し活がブームとなっておりアイドルやキャラクターを用いたグッズを作る方もいますが、販売すると違法となりますので注意が必要です。

実務における著作権・商標権

法律違反となる恐れのある例

商用利用不可の生地

ハンドメイド作品というと、布製品を思い浮かべる方もいると思います。しかし、こうした布作品に使われている生地の中には、商用利用不可」の生地が沢山あります商用利用とは、その材料を使用したものを販売することを禁止しているということです。商標権の侵害になる恐れがあります。

  • マリメッコの生地は、お客様が個人で楽しんでいただくために販売しております。
    販売目的での二次加工品へ使用するものではありません。

出典:Marimekko 生地の使用について

こちらのように、公式サイトで販売禁止されているブランドもあります。もし、生地を使って作品を販売する際は、生地を購入する際に販売可能なものであるか、きちんと調べましょう

型紙やハンドメイド本のレシピの商用利用

布製品などを作る時に使用する型紙、本に記載のあるレシピでの複製も、商用利用かどうかは販売元の定めにより異なります。商品ページやパッケージにて、事前に確認が必要です。

キットで作成した作品

制作キットで、すぐ作れるようなキットが近年増えています。こちらも、商用利用については、事前に確認しましょう。このように記載があるものが多いです。

<8>CHECK&STRIPEで販売していたキットのデザインや型紙を使用した作品は出品できますか
→CHECK&STRIPEで販売していたキットも商用利用不可となっております。ご出品いただけません。また「月替わりのおまけレシピ」も同様に商用利用不可となっています。お客様のオリジナルの作品でお願いいたします。

出典:使用書籍やパターン等について

他の作家さんの模倣

こちらも参考と模倣の境界がわかりずらいですが、疑わしい活動はやめましょう。様々な経験や知識を通して、自分の思いを形にするのが作家だと思います。誇りを持てる活動をし、独自のブランドとして成長させましょう

私的利用での著作権

著作権法では、個人的または家庭内での使用(私的使用)のための複製が認められています。例えば、家族や友人にプレゼントするためにキャラクターグッズなどを作ることは問題ありませんが、大人数に配布することは私的使用の範囲を超える可能性がありますので注意しましょう。

(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となっている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。

出典:著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)

地域のバザーやフリーマーケットで販売するのも、法律上は禁止です。訴えられないから大丈夫と思う方も多いと思いますが販売はやめましょう。

ハンドメイドビジネスにおける商標権の注意点

ブランドロゴの使用

他人のブランドロゴを無断で使用することは商標権侵害となります。例えば、有名ブランドのロゴを使ったリメイク商品を販売することは違法なので注意しましょう。

オリジナル商標の登録

ある程度軌道に乗ってブランドが大きくなったら、オリジナルの商標を特許庁に登録することも検討しましょう。費用としては、5万円前後かかるとともに手順が複雑なようです。弁護士や専門家に頼むと別途費用が発生しますので注意しましょう。

オリジナル商標の登録

新しいブランド名やロゴを考える際には、既に登録されている商標と重複しないように注意しましょう。オリジナルデザインとなるように、自作したりプロに頼むようにしましょう。

出典:事例から学ぶ 商標活用ガイド – 特許庁

侵害による対応

各運営会社の対応

Creema

会員等が第1項に掲げる禁止事項を行った場合、故意過失を問わず、当該会員が、当該禁止事項により損害を受けた会員等および第三者に対する損害賠償責任を含む、一切の責任を負うこととします。当社は、当該禁止事項により生じる直接的および間接的な損害に関して、一切の責任は負わないものとします。

出典:第14条 禁止行為 /利用規約 | ハンドメイド通販・販売のCreema

minne

当社は、本条に基づき、本サービスの提供を停止、利用契約の解除その他第1項に定める措置を実施したことにより会員又は第三者に生じる損害・結果について、何ら責任を負わないものとします。

出典:第31条(利用の制限) /利用規約 | minne 国内最大級のハンドメイド・手作り通販サイト

Instagram

弊社は、利用者の言動を管理せず、また(オンライン、オフラインを問わず)利用者の行為や行動、コンテンツ(違法または不適切なコンテンツを含む)に関しても責任を負いません弊社は、他者や他社が提供したサービスや機能については、たとえ利用者が弊社のサービスを通じてアクセスしたものである場合であっても、その責任を負いません。

出典:7.3 問題発生に関する責任の所在 /利用規約 | Instagramヘルプセンター

これを見ると運営側は、あくまで当事者間解決してくださいね』というスタンスです。そのため、運営側が問題を解決してくれる可能性は低いことがわかります。しかし、運営側に通報すれば、当該アカウントの停止や削除には対応してもらえるようです。

問題となった場合の対応

当事者間で、問題ページを削除するだけで解決できる場合は、速やかにどちらの立場でも対応しましょう。しかし、それでも解決できない場合は、無理して自己解決しようとせず弁護士など専門家に相談しましょう

まとめ
  • ハンドメイドにも著作権商標権肖像権は適用される。
  • 著作権は、思想や感情を表現した創作物に限られるので判断は難しい
  • 布地やキットなども個人利用のみを認めているものがあるので確認が必要。
  • ネットショップやSNSなど運営サイトは、責任を負わない場合が多いので取引や投稿には日々注意
  • もし問題が発生し他場合は、無理に当事者間で解決せず専門家に依頼することも検討
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