売り上げ倍増！ハンドメイド販売で重要な4P・4C｜マーケティング
マーケティングについて
マーケティングとは
よくマーケティングという言葉を聞いたことはありませんか？詳しくわからないけど興味がある方も多いと思います。マーケティングとは、「顧客の欲求を満たすために企業が行うあらゆる活動の総称」です。近年は社会の情勢も変化し、『モノが余っている時代のモノの売り方』が重要視されています。余っているからこそ、多くの人はモノを買いたくないわけではなく、買うきっかけやサポートがないから買わないだけです。それを考慮し、無理な販売をしなくても、商品やサービスが自然と売れていくようにする考え方が主流になってきています。
ハンドメイド販売における重要性
ハンドメイド作品も様々な作家や作品があり、そのレベルも向上しています。そのため、論理的な工夫をしないと作品が売れない状況です。だからこそ、マーケティングの考えを取り入れるべきだと思います。今回は、マーケティングの基礎知識である4P・4Cの視点から、ハンドメイド作品を「何を」、「いくらで」、「どこで」、「どのように売るか」について解説します。
マーケティングの基本
4Pと4Cについて
販売側の視点「4P」
『4P』とは、1960年にアメリカの学者により、マーケティング戦略上のフレームワークとして提唱されたものです。
- 製品（Product）：品質、種類、デザイン、特徴、ブランド名、パッケージ、大きさ、サービス、保証、返品
- 価格（Price）：希望価格、値引き、割引、優遇条件、支払い期限、信用支払い
- 流通（Place）：チャネル、運送、在庫、範囲、場所、品揃え
- プロモーション（Promotion）：広報、広告、販売促進、人的販売
消費者側の視点「4C」
4Pが提唱されたのは、大量生産・消費社会の時代です。そこから時代は変わり、考え方も変化し消費者の立場に立った『4C』という言葉が提唱されました。こちらは、買い手側の視点4Pを置き換えたものです。
- 価値（Customer Value）：消費者にとっての価値
- コスト（Customer Cost）：消費者が支払うコスト
- 利便性（Convenience）：消費者にとっての利便性
- コミュニケーション（Communication）：消費者とのコミュニケーション
どの要素に対応するか
このようにそれぞれが対応しています。4P【製品（Product）、価格（Price）、流通（Place）、プロモーション（Promotion）】に沿いつつ、４Cの視点を考慮しながらマーケティングの戦略を解説します。
Product（製品）戦略
お客様のニーズと欲求を知る
どのような作品が売れているか、オンラインショップで検索して書き出してみましょう、価格やデザインなどまで細かくまとめてみると見えてくるものがあると思います。エクセルなどで一覧にすると具体的にわかります。おすすめは、そのブランドのInstagramなどのフォロワーやプロモーションの方法もまとめることです。
お客様の口コミやSNSでの反応を見る
売れている作品の口コミを一度確認してみましょう。どのような需要があり、購入しているのかなど世の中のニーズを知ることができます。また、SNSで競合のブランドのアカウントの投稿を見ることも大切です。どのような作品にどのような感想を抱いているかを知ることができます。
Price（価格）戦略
コストプラス価格設定
商品の製造や提供にかかるコストに一定の利益を上乗せする方法です。例えば、材料費、労働費、運送費などのコストを合計し、その上に一定の利益率を加えて価格を設定します。この方法は、かかるコストが明確である場合に適しています。
- 簡単に計算できる
- コストをカバーしやすい
- 需要や競争状況を考慮しないため、市場価格と乖離する可能性がある
競争価格設定
競争思考型の価格設定は、競合他社の価格を基準にして価格を設定する方法です。市場での競争状況を分析し、競合他社と同じ価格、またはそれよりも低い価格を設定することで、競争力を高めます。
- 市場での競争力を維持できる
- 価格設定が市場に適応しやすい
- 利益率が低くなる可能性がある
- 価格競争に巻き込まれるリスクがある
バリューベース価格設定
需要思考型の価格設定は、商品の需要に基づいて価格を設定する方法です。需要が高い時期には価格を上げ、需要が低い時期には価格を下げることで、収益を最大化します。例えば、季節商品やイベント商品などに適しています。
- 収益を最大化できる
- 需要に応じた柔軟な価格設定が可能
- 需要の予測が難しい場合がある
- 消費者にとって価格が不安定に感じられる可能性がある
価格戦略のポイント
適切な価格戦略を実行するためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。
- 損益分岐点を明確にする
- 損益分岐点とは、売上と費用が一致する販売数量のことです。把握することで、最低限必要な売上を確保するための価格設定ができます。
- 価格弾力性を考慮する
- 価格弾力性とは、価格が変わったときに需要がどれだけ変わるかを示すものです。ハンドメイド作品でも材料によっては価格変動が大きい材料があります。慎重な価格設定が必要です。
- 規模の経済を考慮する
- 規模の経済とは、生産量が増えると平均的な生産コストが下がる現象です。個人での販売では、生産量が少ないのでコストを下げる戦略は難しいです。価格競争にならない販売をしましょう。
Place（流通）戦略
流通戦略は、製品をどこで、どのようにして作家からお客様に届けるかを考えることです。流通戦略がしっかりしていると、より多くのお客様に製品を手に取ってもらうことができます。
利便性を考慮
お客様が簡単に作品を手に入れられるように、オンラインショップを作ります。Instagramでは直接商品ページにリンクできる機能もあります。お客様の購入までのアクションを減らす工夫も必要です。また、発送方法は的確なものを選び、迅速な配送を心掛けることで、お客様の利便性が向上します。
販売チャネルの多様化
オンラインショップにも多様な選択肢があります。Creemaやminneなどのハンドメイドサイトに加え、独自ブランドのウェブサイトを作ることも可能です。また、直接対面販売を行うハンドメイドイベントや委託販売もあります。自分に合った販売方法を探し、お客様が購入できる場をできるだけ増やすことをおすすめします。
Promotion（プロモーション）戦略
まず、プロモーションを行うにはお客様の行動心理を知り、的確にプロモーションすることが大切です。
行動心理「AIDMA理論」
お客様の購買行動を心理的プロセスで表したフレームワークです。プロセスを順に説明します。
お客様が商品やサービスに気づく段階です。
（例）ネットサーフィン中に広告や記事を目にする時。
お客様が商品やサービスに興味を持つ段階です。
（例）Instagramで商品を紹介する動画や投稿を見て興味を持つ時。
お客様が商品やサービスを欲しいと感じる段階です。
（例）商品の詳細ページを見て、実際に使ってみたいと思う時。
お客様が商品やサービスを記憶に留める段階です。
（例）商品のレビューや口コミを読んで、購入を検討する時。
お客様が実際に商品やサービスを購入したり、利用申し込みなど積極的な行動段階です。
（例）オンラインショップで商品をカートに入れて購入する時。
STP分析
商品・サービスは誰に売ればよいか？誰なら買ってくれるのか？お客様を絞り込む必要があります。市場をグループ分けすることをセグメンテーションといい、それに対して絞り込み狙う市場を特定することをターゲティングといいます。さらに自分の作品ををどのように伝えるか、どのように認識してもらうかを決定することを、ポジショニングといいます。
（例）若者向けのファストファッションブランドがターゲティングするのは、10代から20代のファッションに敏感な人たち。
SNSでのプロモーション
SNS（ソーシャル・ネットワーキング・サービス）は、ハンドメイド作品を宣伝するための強力なプラットフォームとなっています。Instagram、YouTube、TikTokなどが、ハンドメイド作家には主流になっています。先ほどの２つの視点を生かして、具体的なプロモーションが必要です。
考慮すべき点
- 定期的な投稿：定期的に作品の写真や製作過程の動画を投稿することで、フォロワーの関心を引く投稿をする。
（例）毎週新作を紹介する投稿や、製作の裏側を紹介するストーリー投稿や動画を投稿。
- ハッシュタグの活用：関連するハッシュタグを使用して、投稿がより多くの人に見てもらえるようにします。
（例）#ハンドメイド #アクセサリー #手作りなどのハッシュタグをつけて投稿。
- フォロワーへの反応：フォロワーからのコメントやメッセージに丁寧に対応し、意見を取り入れます。
（例）フォロワーからの意見や要望に応じて、新しいデザインを提案したり、改善を行う。アンケート機能の活用もおすすめ。
まとめ
マーケティングの基礎知識である4P（製品、価格、流通、プロモーション）と4C（価値、コスト、利便性、コミュニケーション）に沿った戦略について解説しました。ハンドメイド作品を「何を」、「いくらで」、「どこで」、「どのように売るか」具体的に考えることが求められます。様々な作家さんがいる中で勝ち残っていくためには、やみくもに作りたいものを作るのは危険です。難しいと思われがちですが、マーケティングの理論を用いて、戦略的に制作活動していきましょう。